余暇政策論ノート 020606
000557U
屋比久 美樹
テーマ案:サポータービレッジの必要性
―宮城県利府町の問題を考える―
<サポータービレッジの実態>
前回のノートの中で、サポータービレッジを設置する開催地は4ヶ所と載せたが、さらに深く調べたところ、その内容に誤解があったので、以下に詳細を載せる。
・ 札幌―札幌市教委W杯サッカー推進室は、市内の体育館2ヶ所(東区体育館、厚別区体育館)を外国人サポーターに限り、無料で簡易宿泊所として提供することを決定。(先月27日)
試合前日と当日に限る。
応援チーム別に体育館を振り分ける。
チェックイン:午後3時 チェックアウト:午前10時
部屋は男女別。
http://www.supporters.jp/jp/sapporo/index.php (サポーターWEB/札幌)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20020527&j=0070&k=200205275620
(北海道新聞 02/05/27)
・ 茨城―イベント会場として設置。宿泊所としてではない。
・ 埼玉―イベント会場として設置。宿泊所としてではない。
・ 大阪―寝袋持参のバックパッカーにテント村を提供。
(対象者などに関する情報は現在調査中。)
・ 神戸―インフォメーションセンターとして設置。
<宮城県利府町の動き>
2000年6月29日 「実際に野営をしたいという観客もいらっしゃると思いますので、県といたしましては、こういった方々に対しても、周辺住民の方々への影響も配慮しながら、適切な場所に野営場が確保できますように関係機関と協議をしてまいりたいと考えております。」(宮城県議会 6月定例会 第283回 浅野知事の発言より)
http://www.2002rifu.net/index_old.html
2001年11月 「外国人を含むバックパッカーのための野営地の設置についてのお尋ねがありましたが、そもそも野営地というのが必要があるかどうかというのは、ちょっとよくわかりません。対戦国が決まりましたので、その情報をちょっと収集をさせていただきたい。また、他の9ヵ所の開催地がありますが、そういったところでの動向というものも参考にさせてもらいたいと思いますが、そういったものを検討した上で判断をしたいと考えております。 (宮城県議会 11月定例会 第289回 浅野知事の発言より)
2002年1月20日 三者協議(宮城県W杯サッカー推進局、利府町W杯サッカー対策室、対策協議会)
野営場(サポータービレッジ)は設置しない。
http://www.2002rifu.net/kyogikai/kyogikai11.pdf (W杯サッカー対策協議会だより)
3月3日 野営場設置されず不安募る
http://www2.asahi.com/2002wcup/kaisai/miyagi/020303a.html (朝日新聞 02/03/03)
内容:
県が野営場の設置を断念した理由
1)試合開始は午後3時半と早く、観客も利府にとどまらず移動を始める
2)熱狂的な観客を野営場に集中させることは新たなトラブルを生む
3)野営場を設置しても誘導が困難
設置しない代わりに宮城県警と連携し、約200人の民間警備員が周辺団地内外を巡回することを決定。
5月1日 宮城県、野宿場所設置へ
http://www2.asahi.com/2002wcup/kaisai/miyagi/020502a.html (朝日新聞 02/05/02)
内容:
設置場所は事前に公表せず、当日誘導する。
対戦国のサポーターの衝突を避けるため、野宿場所は2ヵ所設置。
利府町内に設置。
5月16日 住民説明会
http://www.2002rifu.net/problem/020516.html
<疑問点>
・ 一度は設置をしないことを決定した宮城県を設置へ動かした要因は何か。
・ 設置場所を公表しないことがどう影響するのか。
・ 外国人だけを対象とした北海道に対し、宮城県は日本人も対象とするのか。
・ 利用したサポーターの感想はどうか。
これまで調べてきた中で、サポータービレッジに対する捉え方が私の中で当初のものとはずいぶん変わってきた。
この問題について調べ始めたとき、私はサポータービレッジをもっと開放的なものと捉えていた。宿泊場所の決まっていないサポーターは自由にそこに出入りができ、誰でも利用できる場所として提供されるものだと考えていたのだ。しかし、実際は対象を外国人サポーターに限定していたり、場所を当日まで知らせないなど、その内容はサポーターに対して親切なものとは言い難い。サポーター達にとって、その日の宿が決まっていないというのは多かれ少なかれ不安を抱かせるものである。それが言葉も通じず、右も左もわからない外国人サポーターにとってはなおさらである。それが、体育館であれ、グラウンドにテントを立てただけの臨時宿泊所であれ、夜を過ごせる場所が提供されるということはサポーターにとっては心理的にも肉体的にもすいぶん負担が軽くなることだろう。また、周辺住民にとっても言葉の通じない外国人が家の周りを歩き回ることは不安に感じるものである。だが、それが一定の限られた場所に集まっていれば問題はない。そういった点においては、サポータービレッジは双方に利点があると思われる。
しかし、設置には施設準備や警備、誘導などにお金がかかることも事実であり、財政状況が苦しい県としては前回も述べたように、できるだけ設置をしたくないというのが本音のようではあるが。